秒針のスピードがちょうどいい
最近は悩みがないことが悩みというくらいに、日々を淡々と過ごしてる。
特にこれといって爆発的な幸福はないけど、小さな喜びの積み重ねが背中を押してくれるよ。だから毎日、当たり前な顔して早起きする。顔を洗って、髪の毛をセットして、日焼けダメを塗ったら歯磨きしてさ。「今日はどの靴にする?」って玄関の姿見で少し悩んで、31分発の中央線に乗るんだ。
職場までは、約40分程度。電車に揺られながら、つり革を握って本を読んでる。出社後は、今日任されている仕事をこなして、定時に退社する。家に帰れば好きな男の人がいてさ、二人で明日のお弁当を詰めて、48°に熱した暑い親に身を鎮める。
風呂上がりには決まったようにタバコを吸って、テレビなんか見ちゃって、コーラなんか飲んじゃって。就寝するのは0時前後。
そして数時間後には、また今日が始まるんだもん。あっという間にお婆さんになっちゃうな。日々はこんなに尊いものだったのかと、驚かされてるよ。毎日のルーティーンに揉まれながら、少しずつ体の機能も鈍って、シワも増えていくし、知らない間に生きる世界の環境も変化していく。
人が死んだら、産まれたり、長い人生の中で幾度も重なる大きなイベントが迷い込んでくる。それ以外は本当に、平凡な生活を折り重ねていくだけ。その積み重ねの時間に、幸福って名前をつけたらいいのかな?
こんなにも、1日や一週間、一ヶ月、一年が早いものだから、ちょっと待ってよ!って具合にびっくりしながら地団駄踏んじゃうな。
だからみんな、今すぐ行動するべきだって言うのかな。本当にぼーっと生きてると、人生なんて一瞬のように思うね。冷たすぎず、暑すぎず、緩やかな波の中で泳いでる気分だな。
これくらいのペースがちょうどいいかもしれない。時間はみんなに平等だけど、自分の時間配分や、その秒針を進める速度は、自らでコントロールしないといけないのかな?
今までは猛スピードで針を進めたり、秒針を止めて永遠に浸ってたけど。いまはちゃんと、正しいタイミングで、刻めているのかな?
でも、あっという間にお婆さんになるのは、ちょっとさみしいな。もう少し、楽しみたい。