コインランドリー

ありふれたような、日常の流れです。

安心

唯一、抱かれてない男が一人いて

別にわたしは特別美人じゃないし、男を手玉にとるようなテクニックも、恋愛も下手くそだからセックスじゃないと誰も繋ぎとめられなくて。セックスしたって、飽きられたりしちゃうくらいダメな女なんだけど。

 

その男は、たぶん全部わかってるような顔してる人で何を考えてるのかよくわかんない。男の話ばっかりしてる。

特別かっこいいわけじゃないし、どちらかというとブサイクの類なのかな?変な顔してるし、やけに細くて背が高くて、白い。歳は確か30くらいで、出会い系で女の子のこと食べまくってるって話をよくしてる。本当だか嘘だか知らないけど…

変な音楽とか映画が大好きで、こだわりが強そうな、サブカルっぽい雰囲気が漂ってる。

 

きっと、彼もあたしも互いにタイプじゃないって知ってる。でも、本当に傷つけてきたりはしないのは優しさじゃなくてからの弱さなんだろうな。

気が向けば夜中にふらっと安いお茶割りを二人で飲んで「明日も仕事だから帰らなきゃ」っていう寸前で、エッチなキスする。なんなら、路上でおっぱい触られたり、下手な挑発されて笑って帰るだけの関係なんだけど。

時々わたしが不安を口にすると「だって君、すぐ人のこと好きになりそうだもんね」って分かりやすいんだわたしダサいなって笑っちゃう。

 

「セックスしたら終わりだけど、まだセックスもしてないのに会わなくなったりしないよ」って笑ってる。ああ、セックスしたらお茶割り飲めなくなるのかって考えながら「だよね〜」って笑ってるんだよね。まともに友達にもなら養い。

 

それでも彼はまめだから、連絡はちゃんとくれるし、「今日会えてよかったよ」なんてしっかり言い終えてくれる。それがセックスまでの導きだったとしても、誰かに会えてよかったって言われるのすごい嬉しいなって感じた。

 

職場の人と帰りに解散した時、「気をつけて帰るんだよ」って言われた時もすごい嬉しかったな。男の人に優しい言葉かけられるだけで、すごい心がホッとする。

 

いろんなことを終わらせて、自分のために生きようって思い切れずにふらふら出会い系で遊びながら期待しないこと勉強してるけど。やっぱり誰かに「しおりちゃんに会えてよかった」って言われるのすごく嬉しい。

愛とか恋とか、異性とか同性じゃなくて、誰かの中で肯定されるってすごいことだよ。

 

あの時駅のホームで、「しおりんは今の仕事を辞めずに続けてる、それだけで立派なことだよ」って強めの女に言われた時もそうだった。照れ臭くて「えへへ」って笑ってたけど、そういう言葉って後から後から、淀みなく食らわせてくる。

誰かの中で、それは家族とか恋人とか、そういう当たり前じゃなくて、

「あなたといることが楽しい」って言われるのすごい心が安心する。だからいろんな人に会って、いろんな人と喋って、楽しい時間を過ごして、楽しかったね!またね!って曖昧な続きを紡いでいきたいけどね。

 

あたし、人に会いたい

よかった

ああ、全然ダメだと思ってた。毎日ほんとうに辛かった。どんどん知り合いは増えていくけど、懐かしい時間の事実はかき消されていって何処に自分が立ってるのかわからなかった。所々で欠けていく日常の些細な記憶も気に止めることなく歩き続けてた。

でも久しぶりに懐かしい人から連絡が来たり、ちゃんと自分を知っている人が、覚えていてくれる人がいるんだって思うと安心するな。

 

誰かに忘れられて、ダメになることを望んでたけど、本当は全然ダメになりたくなかったよ。ずっと覚えていて欲しかった、ずっとダメだけど、ちゃんと誰かの中で生きてたかった。よかったなあ…

全然、大丈夫

メンヘラだけはいやだって思ってずっと生きてる。それでも、いろんな人に腕の写真を送りつけたり、腕を出して外に出たり、自分で自分の行動を疑うね。少しでも、ちゃんとした社会人になろうとしてたはずなのに、ストッパーが外れたみたいに全てが我慢できなくなってる。

仕事もぜんぜん上手くいかなくて、悔しくて、上司の前でボロボロ泣いた。ADHDの患者みたいに、今日じぶんがやること、優先順位をすべて紙に書き出してもらって、指示出しをしてもらう。自分の仕事のスケジュールさえも立てられない。頭がぼーっとして何も手につかないからミスは増えるんだ。仕事を頑張ってるねってよく言われるけど、一緒に働いてない人はわたしの話しだけを聞いてるから、そう見えるだけで本当は違うんだよね。このままじゃ、会社クビになっちゃう。

 

寝ても寝ても、体を休めようとしても、いつも頭の中で考えてる闇が夢に出てくる。人と眠れば多少は安心して眠れるんじゃないかって期待しても、ダメだった。いつも夢の中で誰かに嫌われたり、怒られたりしてるんだ。誰と何を話しても執着点が見えないから、理不尽なことばっかり言ってるし、嫌いになる前に嫌いになってる。改善するべき点は多くあるはずなのに、向き合う余裕がないなんて甘えなんだ。

仕事ができないことも、いま自分が生きてる時間も、すべて取捨選択の結果なのに、どうして被害者だみたいな顔してのうのうと生きてられるんだ。きっと全部、大丈夫なはずなのに、大丈夫じゃなないものにしてるのは自分自身なのにね。思うんだけどさ、ここまでクソ面倒な戯論を並べてるうちは大丈夫だって。

 

気の持ちようだから全部、大丈夫だよ。部屋を少し片付けたら、手紙も書けたよ。お風呂にも入れたし、少しずつ色んなこと忘れずに済むよ。腕も少しずつ治って来たじゃないか。わたしは全然さ、病んでないよ。少しだけ色んなことを考えすて、悩みの種を増やしてしまったがために悲しみの成長促進を促してるだけ。こんなポエミーなこと言えちゃうんだから大丈夫だよ。全然、大丈夫だよ。