コインランドリー

ありふれたような、日常の流れです。

赤い三本の線

毎日文章を書く。書きたくないと筆を投げてしまっても、なぜ文章を書いているのか?と問いただしたくなっても、私には文章を書くことしかできないんだ。
些細なことでも、徒然なる日々も、どんな文章の在り方でもいい。私は文章を書かなければならい。

いろんな感情を丁寧に傷つけぬように、糸を解いていく(整理)。絡まった糸はヨレヨレになっても其処に存在する。今にも千切れてしまいそうなほどに痛み壊れ、修復不可能な傷を美化して、抱きしめて前に進んでいく。



あなたには分からないでしょ。私の苦しみも悲しみも、あなたは素晴らしい人だから、出来損ないの人間の混沌として行き詰まった気持ちなんて分からないでしょ?そう言って泣き喚いて。虚しくなって、何か心の中で期待を抱きながら部屋の扉を強く締めて冷えた部屋に立ちすくむ。キッチンのコップに立てかけられた錆び付いたナイフを手に取る。細かい傷跡が残る左手首に刃物を強く押し当てる。何も考えてはいけないという意識を持ちながら、思い切りを込めて手前に刃物を引いてみる。裂かれた皮膚が割れて、その間からうっすらと赤い肉が顔を出して、真っ赤な液体が放出される。

ポロポロと涙が溢れて、自分で自分を哀れむ。小さな抵抗。怒り、悲しみ、混沌とした感情の鬩ぎ合いが刃物を持つ手を躊躇される。「腕を切る」という衝動的な感情より先に感情が剥き出しになって、体が強張り縮こまる。


何事もなかったかのように、電気を消して、布団に潜り込み、彼を弄る。それを口に含んで涎で包み込み身体を寄せ合う。そのまま深いところまで彼が侵入してきて、好きとか嫌いとか言う感情を忘れるほどに欲に溺れて。目的地に達すると、何を目指して前を向けばいいのか分からなくなってしまうように、無気力な気分を味わいながら、疲れ果て、下着を身に付けずに眠りにつく。


目が覚めて、露わになった下半身は、昨日の事など何も覚えていない。まるで最初からそうであったような姿で1日が始まる。同時に腕に出来た傷紛いのものは、自己主張を成すことなく、いつの間にか忘れ去られてしまいそうだった。三本の赤い線。

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忘れてしまってもいいんだけど。君のこと。忘れた頃に思い出したその時は、久しぶりだねって笑って挨拶が交わせられるように、今は君を忘れることにするよ。