コインランドリー

ありふれたような、日常の流れです。

当たり前田のクラッカー

独立洗面台の照明は明るくて、スキンケアやお化粧も捗る。お風呂はいつでも一定の温度を保ってくれて、どんなに長く浸かってもホカホカ。シャワーの水圧も強いから、すぐに泡も洗い流せるんだ。

ベッドが広いから二人で仰向けになっても余裕で眠れるし、寝返りだって打てる。ちょうどいい硬さのスプリンが身体の重みを受け止めてくれる。秋春用の掛け布団は薄いけど、すごく暖くて快適だな。枕も二つあるから、取り合いになったりしないんだよ。

家に帰ればパッと明るい部屋がそこにある。ソファにどかっと座って液晶が美しいテレビを見ながら一休みだ。キッチンも中腰になって料理をする必要がないね。氷も勝手にできてるから、製氷皿にお水をこまめに入れなくていいし。冷蔵庫は大きすぎて、なんだか手持ち無沙汰になってしまいそうなほど。

 

これが当たり前の生活なのかもしれない。今までのように、狭いベッドで眠ったり、霜ができる冷蔵庫もないんだ。

これまでだって、ずっと楽しかった。限られたものの中で、自分たちの生活を作ってきたよね。今度は二人で一から生活を作る時が来た。快適な暮らしに、また一つ色を載せてく。実感がわかないようで、いつか当たり前になる毎日なるのかな?まだ足りない物は多いけど、少しずつ、これまでと同じように二人の居場所を作っていきたい。

叶わぬ夢

2年間生活してきた家を出て、新しい環境での暮らしが始まった。勝手がすべて異なるため、なれるまでに時間を費やすだろうな…と骨が折れる。

 

引っ越しの当日、父と母がレンタカー屋さんでハイエースを借りて来てくれた。朝早くかさっさと作業を済ませたおかげで、22時頃には全ての作業が完了。まだやることはたくさん残っていたが、最低限の生活を維持できる環境は整ったと思いたいな。

 

三連休は、彼も運良く休めたので、二人で残りの作業を片付けたりなどした。猫はひたすら不安な顔を浮かべて、私と彼が見えなくなると大騒ぎする。声が掠れてしまいそうなほど、悲しそうに中から、こちらまで不安になる。ご飯もあまり食べないんだもん。どうしたの

 

引っ越して、生活も新しくなり、何もかもすべての理想が整った快適な家。ただ其処に帰るとき、まだ他人の家に足を踏み入れるような気持ちになってしまう。

父と母を見送ったレンタカーのテールランプが寂しさを誘った。「私も連れて行ってよ」って、頭の片隅で考えちゃったかもね。

 

部屋が広くなれば、彼との物理的な距離が遠くなるように感じる。感じるじゃなくて、実際にそうなんだ。心の距離は重なっているのに、手を伸ばしても触らない感覚。

ご飯を作ったり、食器を洗ったりするときに、彼の姿は見えるけど。寝室に引っ込んだら、一人ぼっちでリビングのテレビを淡々と見てる。

 

床はとても冷たくて、部屋が広い分エアコンの効きも悪くなる。猫が必死に私たちを追いかけ回してそばに寄ってくる気持ちは、わからなくもないね。私も猫と同じように、不安で寂しくて、悪戯だってしたくなるもんな。

 

春になれば、この景色や気持ちも少し晴れるのかな?叶わぬ願いが報われなくても、ちゃんと消化されていくのかな?

 

帰ったら、猫の餌とおトイレを掃除して、お弁当の支度をして、お風呂に入って、明日のおにぎりを準備したらテレビを見ながら一息つく。コーヒー買って帰ろうかな。

生活水準の話

一人暮らしを始めた時、32インチのTVで興奮してた。使い古したカラーボックスとIKEAの高い棚を設置する。カーテンはニトリで安いものを購入し、届くまで部屋が丸見え状態。ベッドなんて、楽天で購入した脚付きマットレスだ。家電はすべて、昔一人暮らししてきた時に最低価格で購入したジャンク品。機嫌が悪くなると、思うように動作しないかわいこちゃん。

 

最低限は暮らしと言えるの箱の中で、2年間暮らしてきた。

 

新しい家族が増えて引っ越しの準備をする時、見える景色が大幅に変わったことを驚いた。生活水準が上がることで、自分の愚かなプライドも見え隠れする。

引っ越し先の新居では、40インチの4Kテレビを購入した。洗濯機は7kg容量あるHITACHI。汚れをよく落としてくれるらしい。多機能オーブンレンジに切り替えて、使いこなせるのか心配になる。スチームやオーブン、グリルなど、多彩な料理を作れる。炊飯器も5.5合炊けるよ。冷蔵庫だって、自動製氷機付きだ。どれだけ食材を詰め込んでも、有り余る。可愛らしいケトルも購入して、生活が順調にスタートする。

 

まだ揃えるものはたくさんあるから、これで終わりじゃない。しかし、これまでと比べ物にならないくらい生活水準が上がっている。

小さなスタートから大きな進歩に、物事が変わっていく。何もかも彼のおかげと言っていいほど、足を向けて眠れないな。

 

最低限あるもので工夫をしながら生活していたミニマムな暮らし。やっと、少しだけ、当たり前といく余裕が見え隠れする。

 

新たに、ソファ、ダブルベッド 、ブラインド、など購入するものがいくつかある。

広々としたベッドでぐっすり眠れる毎日が愛おしい。ソファで寛ぎながら、高画質のテレビに齧り付くことだって出来る。でも私は、テレビっ子じゃないけど。

 

ワンランク上の生活と言っては、少し大げさかもしれない。それでも過去に比べれば、私たちは大きく前進してる。そのプライドが私の気持ちを震わせる。だれかと比べるわけじゃないけど、だれかと比べてしまいたくなることも。私の功績じゃないのに、可笑しいな。

 

人それぞれ感じである当たり前の形は違う。その中で、自分の思う形にハマっていくような気がするよ。凄いことだと思う。それは素直に、いろんな形に対応していることが。理想の生活を実現していくこと。

たくさんお金を持っているわけではないけど、ある程度の経済力の中で築ける価値がある。周りと違っても、悪いことじゃない。世の中に吐き捨てられるほど並べられたそのセリフたちは、右から左へと流れていく。だから常に忘れてしまって不安に感じる。仲間外れにされることは、怖いことでしょう?

その不安に押しつぶされることから、少しずつ解放された気がする。単純だからね。

 

何かを得ることでの満足度や、その中で始まる時間の幸福度により、歳を重ねていくとこと。上を見ればキリがない世界のキラキラに、負けないように踏ん張って地団駄を踏むことも。その原動力となるエネルギーが少しずつ、芯を持ってきた。

 

ああ、私は大丈夫なんだな。っていう不思議な安心感。きっと誰にもバカにされたくない。貧乏なんて糞食らえだ!って怯えてる。その中で、いま手に入れたものを育みながら、私自身も成長性を失いたくない。

 

生活水準がアップしたことで、私という人間が違うものになることはない。自分のお給料が上がることだって、あり得ないんだよ。でも私だって昨日の自分に負けたくない。一年前の自分に負けたくない。過去に上塗りされる日々をがいてるわけじゃないんだ。

 

いま培っている時間や、進んでいく物事に負けないよう、私も正しく進化する。大人だから、もうズルはしないよ。