コインランドリー

ありふれたような、日常の流れです。

花見という名目だった飲み会から、雨で断念して友人宅で大勢の人々と飲んだ。お酒をたくさん飲んで、いろんな音楽を聴きながらまったりと時間は流れていって。笑いの絶えない空気に居心地を感じながら楽しんだ。

 

帰りは終電ギリギリになってしまい、合鍵で彼の部屋に入ると部屋の電気は微かに灯してあるだけ。彼はベッドに潜り込み眠っていた。「遅かったね」と言う彼は優しく抱きしめてくれて安心をもらった。

午前休を取ってくれたので、二人でのんびりと眠って、布団の中でふざけ合いながら時間を刻んでいく。途中で腹痛と気持ち悪さに襲われてどうにもいたたまれない気持ちになったけど。それでも二人でのんびり過ごせて本当に幸せだったね。ありがとう。

 

帰りは新宿まで出るルートで帰る。ふらっと新宿のルミネに立ち寄ると、季節の移り変わりで、からびやな店内に並ぶのは半袖の服ばかりだった。可愛らしい形をした袖の短い服たちを眺めながら、わたし一生着ることができないのだろうか?と考えた。

ボロボロの腕は、もう何年も露出することなくなってる。外出の際には黒いウォーマーを付けて出掛けることがデフォルトになった。ウォーマーを付けていると半袖の服のデザインは限られてしまう。女性らしい少し特徴的なデザインは、それを一枚で着ることで、美しく映えるはずなのに、腕に黒いカバーをつけているとおかしいから着ることができない。

 

なんでも、半袖のワンピースを着たい。

 

自分が行ったことに後悔はしていないけど、それでもわたしは、纏えるものが限られてしまうことに悲しさを感じる。

幸せと多幸とパスタ

物思いに耽っている。幸せすぎて、なかなか眠りにつかない。この気持ちのまま眠るのがもったいなくて、明日も朝が早いのに多幸感を抱きながらタバコを片手にご褒美のピルクルを飲む。最近のわたしの体はピルクルとコーヒーで構成されてるかのようだ。

 

彼に会いにいった。ご飯を食べに来ないかい?と誘われて彼に会いにいった。駅に着くと待ち合わせが下手くそなわたしに少し不機嫌そうな顔の彼を見て心が萎んだ。それでも一生懸命化粧をして、眉毛を描いて、中学生が前髪の位置を気にするみたいに風で前髪を触る。

電車に乗ると彼はふざけて、わたしを笑わせる。本当に幸せで思わず笑みが溢れてしまう。

 

わたしはこの距離感を愛してる。

 

まずは手始めにジンバックで乾杯。彼の作るお酒はちょうどいい濃さで美味しくて、乾いた喉をどんどん潤す。

フライパンで炒められたニンニクはいい香りがして、ベーコン、オリーブオイル、小松菜、パスタ、バジルをアクセントに加えられて、美味しいペペロンチーノの出来上がり。

白ワインのアルコールを飛ばして、素材の出汁が染み込んだパスタはとっても美味しくて。お腹がはち切れそうなくらい食べた。お味噌汁はシンプルに野菜と豆腐の具材。涙が出るほど美味しくて、心も体も温まってしまって。

 

温かいコタツの中でテレビを見ながらジンバックを飲む。彼はマックを開いて仕事をしながら優しくキスをしてくれて。「仕事忙しくてごめんね」と言いながらくっつくことを許可される。

痩せたねって言われたくて、痩せたの!って言いたくて、我慢できない気持ちを抑えながら彼の横で心も体も温もりを味わう。

 

帰りに終電まで走って、見送る彼を背に電車に乗り込み帰宅。家に帰りぼーっとしてからお風呂へ。熱いシャワーを浴びて、ボディクリームで体をマッサージして冷たい布団の中に潜り込む。明日も仕事で朝が早いのに、なかなか寝付けないんだ。

 

ずっと疲れてる、ずっと苦しい。それでもわたしはちゃんと歩き続けられる証がそこにあるから、今あるべきことを消化していく。転ばないように、ゆっくりでいいから歩いて行こうね。

 

 

ああ、昔は帰りたくないってずっと泣いてたよね。わがまま言って無理やりホテルに連れ出してセックスしたり、そんなことばっかりしてた。どこにいても気持ちは空虚で、誰とセックスしても悲しかったよ。

仕事もしてない、男もいない、家族も嫌い、守るものは何もなくて、ただ途方に暮れて生きてるだけだった。人は何か自分の中に守るものがないと死んでしまうんだ。それは、何かがきっかけになってどん底まで落ちるんじゃないよ。失うものが何もないから、落ちるとこまで落ちて、登り方を忘れちゃうだけなんだ。

 

人は何もなくなって悲しくなるし、さみしくなるし、苦しくなるよ。それは誰が悪いわけでも、あなたが悪いわけでもない。

 

 

家に帰りたくて仕方がなかった。美味しいご飯も大好きな彼もそこに待ってるはずだったのに、月曜日という日に心が嬲られてしまって、明日も変わらずに前向いて生きなきゃいけないと思うと甘えられなかった。

ああ、私は社会人なんだなって実感した。美味しいご飯や愛よりも、明日の自分のモチベーションを取った。それでも仕事があるから、張り切って前に進まなくちゃいけない。「会いたい」と言葉は漏れたけどそれでも「我慢する」って張り切ったんだ。えらいぞわたしって自分のことを褒めてあげたんだよ。かわいいぞ!私!って具合に。

 

誰も羨まないし、誰も私を見ていない。どんなにかわいい下着をつけても、前髪を伸ばしても、化粧を変えても、痩せても、だれも気付いては暮れないし本当にの意味で誰も私のことを見てないと感じる。それでも日々頑張ってる私は、私がかわいいと思うの。誰に、馬鹿にされても裏切られても罵られてもここに立って生きてる限り、進み続けてる限り私はかわいい。

 

みんな頑張ってるし、みんなかわいい。生きてるそれだけで、生きるためにお金を稼いで自分の食い扶持を繋いでるだけでかわいい。

毎日ご飯を食べてお風呂に入って服を着て外に出て誰かと喋って、それだけで最高なのに。世の中にはくそったれな奴も、ゴミも死ねばいいって思う奴も腐るほどいるけど。それでも生きてるんだよみんな。

舐められたり、蔑まれたり、馬鹿にされたり、利用されたり、そんなこともたくさんあるけど、それでもぶん殴って張り切って生きていくしかないんだから。

 

腹立つことも、殺してえことも、殴りてえこともたくさんあるんだから。

それでも最後に、自分の城でお香をたいて、いい匂いに包まらながら暖かい布団に包まれて眠れたらそれで幸せなんだ。刺したら明日がきて、仕事になってまた働かことの繰り返し。休みの日には本を読んで音楽を聴いて、散歩をしながら知らない街を体感する。

 

あーアンフェアの雪平かっこいいな。元彼はこういう女が好きで、私はずっとこんな女になりたかった。