コインランドリー

ありふれたような、日常の流れです。

彼のおちんちんは柔らかい

当たり前の幸福ばかりが、頭の中をぐるぐる回ってる。

 

SNSで見かける丁寧な生活とか、恋人同士の幸せそうな風景。形が少しずつ変わっていく二人の関係や、新しい命の誕生だって。ぜんぶ瑞々しくて綺麗な色に見える。でも本当は、私が立ってる場所だって新鮮な水が淀みなく溢れてるはずなのに。心という色眼鏡一つで景色も灰色に染まるから不思議。

 

無彩色の世界だって悪くないのに、やっぱりいろんな色が欲しくなるね。

 

2019年の幕開けは最悪だった。インフルエンザになってずっと寝込み、計画していたことは全部台無し。

 

引っ越しのこと、結婚のこと、いろんなことを同時進行で考えなくてはならない。仕事も年明けになれば大忙しなんだよね。少しずついろんな物事の動きが激しくなる新年に体が追い付かなくて地団駄踏んでばかりいる。ねえ、ちゃんと前進してる?って自分や身の回りに問いかけて叫びたくなる時がたくさんあるけど。

 

みんなは、それぞれの人生を着実に進めてる。恨めしく横目で覗きながら、私の心は立ち止まってばかりだな。部屋の片付けだってままならないし、ご飯も全然作れなくなっちゃったよ。奥さんとして最低だね。

 

引っ越しもちゃんとうまくいくかな?初期費用は用意できる?理想に近い環境で暮らしを移行することはできる?そんな不安ばかりが頭の中をぐるぐるしてる。一つの物事はつまずくと、すべての物事をダメにするのは昔からの悪く癖。そんなこともつゆ知らずに、猫は暖かい部屋の中で体を丸めながら、眠ってる。君は気楽でいいね。

 

彼は毎日仕事に大忙し。経済的な余裕は増えど、体の疲弊と時間を奪われる一方。休みなく働く彼を尻目に、私は一人で悩みを増やしてる。そんな中でも、家路につけば私を笑顔にさせてくれる大切な愛くるしいものが溢れてるでしょう?ご飯は美味しいし、やっぱり家の中は暖かい。

 

一人より、二人のほうが楽しい。だから大丈夫。ただそれだけの力で、前に進むしかない。いつだって人生は踏ん張りどきだから、休んでる暇なんてどこにもない。だから不安だってたくさん降ってくる。その雨足が強くなるかは、自分の心にすべて委ねられてるみたい。いまの心はざんざん振りの大雨注意報が鳴らされるよ。風も冷たく吹き荒れて、寒さを凌ぐための防寒具を用意してない。薄手のスプリングコートを着ながら、凍えるように春の暖かさを待ってる。

 

ただ寒い季節があるのは、暖かい時期を迎えるための足踏み。こんなに凍えるほど寒い日は、永遠には続かないから。また茹だるような暑さが訪れると同時に、秋の紅葉が目を奪うんだよ。「春はくるから大丈夫」その確信だけが、安心に繋がる。

 

この長くもない人生の中で、どれだけの「大丈夫」を並べてきたのかな?ずっと古くならない言葉だから、大切にいつも抱きしめてる私の味方だよ。不確定な未来は不安ばかりが募るけど、いつだってどうにかやってきた。今は死ぬより生きることの方がずっと気楽に感じるんだ。死ぬって結構大変だし、お金もかかるし、後始末もめんどくさい。生きる方がずっと笑顔を与えてくれる場面が多いから。大切なものが多過ぎて苦しくなる時もたくさなるけど、みんなと一緒に幸せになりたいんだよね。

 

今日もご飯は美味しいし、猫の被毛は柔らかい。彼のおちんちんも柔らかいです。