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コインランドリー

ありふれたような、日常の流れです。

賢い近道を選択して生きる準備

あの人はきっと負けず嫌い。

 

だっていつも、私の駄目なところと自分の最高を比較して、「いいでしょ」ってかわいい顔しいて自慢をしてくるから。

 

ゴールでウィーク

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ゴールデンウィークはいつの間にかスタートした。初日は好きな男と秩父へ出かける。きっと彼は恋人じゃなくて、私の中での概念として「好きな男」という認識が至極、正しい表現のように感じる。

 

前日はドキドキしてあまり眠れなかった。彼のためにどんな服を着ていこうかと、選ぶ衣類ひとつとっても一喜一憂してさ。きっともうその時からゴールデンウィークは始まっていたんだ。

前日に少し機嫌を損ねてしまった彼のことを考えて。憂鬱な気持ちを無理やりしまい込みながら当日に向けて気持ちを駆り立てる。大丈夫だよ、明日は二人で笑えるよ。

10時半に池袋で待ち合わせ。西武線の改札付近で彼にも足りかかりながら、緑色のスマートフォンを撫でるひょろ長くて白い男。黒縁眼鏡に白い肌、真っ白なサーマルを着て、真っ黒のガウチョパンツにマーチンのオリジナルブーツ、羽織に肌触りのいいチャコールグレーのパーカー。わたしを見つけた男の顔はとても眠そうで、何も言わずに人込みのあたりを見渡して「どうする?」というような声を発した気がする。

今日のために、前日みどりの窓口で手に入れたレッドアロー号の特急券を彼に渡して改札を通る。「電車の中でお酒を飲もうよ」私の提案と共に、各々の酒とつまみを買い電車に乗り込んでいく。窓側の席は私で、彼は通路側に座る。ゆとりのある席に着き、電車が発車する前に缶の蓋えを開ける「プシュッ」という音ともに完敗。

前夜、彼は大量のカルーアミルクを飲んでお腹がいっぱいであること、新しい会社の上司の話、休みなく働き続けていること、などの話をしながら目的地に着くまでの道のりに花を咲かせた。お互いにふざけ合いながら、なんでもない景色を眺めつつ、時間は流れていく。今日という日が始まっていた。

目的地に着くと、人だかりの中を優しく誘導してくれる彼の後ろを通って西武秩父へ上陸する。日差しは嫌というほど照り返してた。光の下を歩くことは、なぜか悪いことをしているような気持ちになって負い目を感じてしまうものだけど、ゴールデンウィークという名の元に集った人々の活気に掻き消されてしまう。

何でもない街を当てもなく歩き、目的もなくローカルな建物や商店に足を運ぶ。何事もないチェーン店でキンキンに冷えたビールとネギラーメンを食べて仕事の話をし始める二人。わたしたちは、口を開けば職場の話や、今後の業務について花を咲かせることが昔に比べて増えたような気がする。

 

彼と私

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今年の1月後半ごろに仕事を変えた私と、新たな職場で自身の実力を試す彼。どちらの状況も変化を折り重ねていることは事実だ。そして、社会人としての道を歩み始めた私は、自身の感性と向き合う時間よりも、多くの現実と立ち向かう生活が増えていった。その結果によって、私と彼の間に「業務の会話」という新たなジャンルが生み出されたのだろう。

きっとこれまでも同じように彼の業務形態の話をすることは多かった。そこには彼という主体のみが存在していて、「私」という他者はそこに存在することなどない。しかし、いまこうして社会の縮図に組み込まれていくことにより、彼の離す仕事の会話に「私」という人間が投影されていく。そして、彼の話に耳を傾けるたびに一生この人には勝てないという後ろめたさと同時に、無理にでも自分を駆り立てようとする危うい感情が芽生えていくことに心苦しさを感じたりするのだ。

低価格のラーメンを食べながら、彼は落ち着いた表情で言った。「こうして二人、ゆっくりと時間を作れるのは今日が最後かもしれない。今後はもっと忙しくなるし、しばらくは会えない時間が増える」

きっとこれは我儘やエゴの塊だと思うけど、会える時間が限られていくこと、進んでいくために身を削り続ける男の姿をどんな気持ちで受け止めていいのかわからなかった。仕事の話を続ける彼の会話を思わず遮りたくなるような締め付けが心を引き裂く。「もう仕事の話なんてしたくないの」と言わんばかりに、口にすることはないものの、自然と表情は暗く閉ざされていく感覚を味わう。

ただでさえ私たちは会える時間が限られている。ほんの少しの時間の中で、互いの思いをどこまで示しだすことができるのだろうか。もう会えないかもしれないという不安ばかりが心を打ちのめす。

それもで、私たちは進み続けなくていけない。自分たちの人生を豊かに過ごすため、ただそれだけのために進み続けなくてはいけない。優しい顔で笑いながら彼は「浮気はしないからさ」なんて冗談交じりで言う。そんなことは百も承知ですともと心の中で屁理屈をぬかすことしかできない。

どれだけ追いかけても、追いつかないところまで行ってしまう彼。私たちのスタートラインはあまりにも、開きが大きすぎて、どんなにハンデを与えられても私は貴方に追いつくことはできない。そう思っているばかりで、自分の弱い心を育て続けていた。

どこかでずっと負い目を感じて生きてきた。容姿もさることながら、器用に仕事をこなして昇格し、まるでゲームを楽しんでいるかのようにとんとん拍子に進んでいく彼の勇士を指を咥えて睨みつけていたのかもしれない。そして、対抗する武器として選んだものは、曖昧で結果の出ない感性という甘やかされた毒で「私には彼にないものを持っている」と落とし処を付けて生きてきた。

でも、私たちは多分そうじゃないでしょう。それは正しい答えではなかった。いつまで追いかけても、きっと貴方という人間に追いつくことは出来ない。ましてや、同じ土俵の上で隣を歩くことなどできないかもしれない。それらは変えられない事実であると同時に、明確な真実でしかないんだ。でもね、そこで負い目を感じることはひとつもなかったのにね。

いまの仕事を初めて新たなことを学び、新しい世界が開けてきた。何が大切なのか、何が必要なのか、何が求められているのか、という事実の見落としや新たな知識を吸収する時間が多く増えた。そして、見落としてきたものを丁寧に拾い集めていま形にしようとしている。いまは一番大事な時間軸の中にいて、誰かの人生に気を揉んでいる隙間は存在していないでしょう。

彼の仕事の話や、進んでいく力や、様々な事柄へ挑戦的姿勢をどこかでううらやま恨めしく眺めていたこともある。でも、大事なことはそれぞれの時間軸を生きているということ。同じ人間として、生きている土俵のディテールは多少なりとも誤差がある。誤差を埋めるにはどうすればいいのか?

進み続けるしかない、立ち止まらずに進み続けるしかない。

 

変化 

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きっと今までは、最低限生きていることだけに目を向けていた。そうすることが、当時の自分にとっては精一杯の努力だったよね。でも、いまこうして生きること当たり前にできる時間が与えられたことで、新たな目標を目指して進むことのできる余白ができたでしょう。余白はとても小さくて、ほんの目の前の与えられた小さな事柄を消化していく些細な出来事でしかないかもしれない。それでも、いま与えられた物事への消化は自分にとって将来への大きな一歩になることでもある。

何かに捕らわれるように、勝負するべき武器は「感性」という曖昧なものでしかなかった。一握りに人間に評価されて、時には一喜一憂しながら自己の中で曲げられないものを評価し小さく息をして生きていた。乏しい生活の中で「感性」という安価な食事をどうやって賢く調理して、美味しいものを作り食いつないでいくかという現実に対して猛進しているばかりだった。

それでも、私は美味しいものが食べたいしいい生活がしたい。感性という曖昧な材料で調理した安価なごはんではなく、現実という綺麗な器に彩られた「実績」というな名の栄養価の高いごはんが食べたいんだよ。

そのために、いまは小さなことからコツコツと突き詰めていかなければいけない。至極当たり前のことを今になって向き合う時間ができたのは大きな成長の証だ。それらを遂行するために、まず大事なことは何事も我武者羅に進み続けることじゃないんだよ。何が大切で何が不必要なことなのか、きちんと見極める力を磨いていかなくてはならないでしょう。そのスキルを磨くには大いなる時間が必要だと思う。

どんなことにも「不必要な物事はない」と人は曖昧という名のもとに、すべての事柄を正しく肯定しようとする。でも、自分の尺度で測られた世界の中では何が正しくて、何が間違っているのかという目を備えておかないといけない。

もう落とし処をつけて、すべての物事に対する「ポジティブ」という正しい言葉で彩られた遠回りはしたくない。公開や過去を悔やむ必要は何処にない。ただ、これからは賢く生きるためのショートカットが必要だということを心得ておくことは大事。

だからこそ、今ある小さな物事への消化と向き合う上で、内を選択して何を切り捨てるのか見極めながら近道をしていくことが必要だ。 

 

これらの物事に気付かせてくれたのはすべて彼のおかげだったのかもしれない。私はいつまでも、才能もへったくれもない自分に期待をして生きてきた。目の前の現実を向かい合うことに目を逸らしながら、曖昧に寄りかかっていたよ。

でも、彼は現実という過酷なダンジョンをしっかり足を踏みしめて突き進んでいる。あまりにもその姿がかっこよくて、美しくて、ほれ込んでいるのかもしれない。きっと始まりも終わりも、二人は別う次元で互いの軸を折り重ねていく。置き続けることの疎ましさや心寂しさを感じながら背中を拝み続けるのであろう。

その中で、彼が落としていったヒントやアイテムの何を選択して自分の武器を構築していくかで今後の人生の色がどう艶やかになっていくか変化していく。だから彼が進み続ける姿をみて負い目を感じることも、叫びだそうとする気持ちを抱えて生きていく必要もないから安心してほしい。

それは負い目を感じていた私に対する落とし処じゃない。もう今までの人生の中でたくさんの落とし処を見てきたのでお腹いっぱいだから。まずは何が気持ちのいい真実なのかきちんと線引きをして、選択をしながらぶつかって生きていけばいい。

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だから頑張る彼の背中を見て応援するし、私は自分のベクトルと時間軸の中でいまやるべきことを遂行しながら、彼の落としたアイテムを賢く線引きして武器を作りながら、近道するためのスキルを磨いていくんだ。大丈夫。