コインランドリー

ありふれたような、日常の流れです。

すごく怖い夢を見た。

私の恋人は無神経大魔王で、そのせいか、人のせいか、彼に関する怖い夢を見た。

 

 

夢の中で彼は浮気をしているのだ。それはとても可愛らしいポニーテールの女子高生だ。私の持っていないものをたくさん持っている彼女。彼の家に向かえば、彼女と彼が激しく入り混じって、身体と身体をすり合わせて愛を育んでいる。それは楽しそうに、本当にソレを楽しんでいるかのように。笑い声が聞こえてきそうなほどに。

彼は私が現れたことに気づくと、驚いた素振りも見せず何事もなかったように行為を終えて、笑顔でいつものように私に声をかける。「彼女可愛いでしょ。怒っちゃった?」と私をひけらかすように笑みを浮かべながら声をかける。悪気などまるでないように、それが軽い悪戯かのように。

私は彼に圧し掛かって、顔をくちゃくちゃに縮めた。それはそれは原型を留めないほどに。彼の顔は紙粘土のように柔らかく歪んでいく。抵抗することなくされるがままに歪められていく恋人の顔。無抵抗により私の非は膨れ上がり、彼が被害者と化していく。傍にいた女子高生は声を出すこともなく、目に涙を浮かべて、口をだらしなく開けては目の前で起きている状況を頭の中で処理できないようだ。

そこでふと目が覚めた。

とても悲しくなり彼に電話をする。「なんだ」彼はそっけなく電話に出ると、用がないなら切るぞというような勢いで電話が切れた。不安と恐怖に苛まれながらカーテンの隙間から咲きこむ日の光に救いを求めて布団から抜け出す。

 

私はきっと、彼が浮気をしてしまった日には、夢の中のように憤慨しては彼をくちゃくちゃにしてしまうのだろう。この手で一番大切なものを壊してしまいたくなるような感覚で、彼を物理的に傷つけてしまうのだろうか。

 

それらは彼への怒りや憎悪からくるものではない。自分の悲しみや苦しみを抱えきれず、どうすることもできずにのたうち回るように痛みには痛みをというような感覚で大切なものを傷つけては当の本人が取返しのつかないほどの痛みを味わうのだろう。